小林綾乃はノートから一枚の紙を破り取って長田伊紗に渡した。「これは患者が目覚めた後に飲む薬です。一日一回です。」
言い終わると、小林綾乃は少し間を置いて、「十日後にまた患者の診察に来ます。」
「はい」長田伊紗は頷いた。「ありがとうございます、名医さん。」
「どういたしまして。」小林綾乃は薬箱を片付けながら、いくつかの注意事項を伝えた後、山下おばあさんと山下莉理の方を見た。「金田おばあさん、山下姉さん、行きましょうか。」
「ええ。」山下おばあさんは頷いた。
山下莉理は笑顔で小林綾乃を見た。「綾乃、ちょっと待って。伊紗と少し話があるの。」
「わかりました、急ぎません。」小林綾乃は淡々とした口調で言った。
長田伊紗と山下莉理が中で話している間、小林綾乃と山下おばあさんは大広間に来た。