113:順調に目覚める_5

小林綾乃は伊紗の方を振り向いて、言いつけた。「長田さん、お母様はちょうど目覚めたばかりですから、しっかり休息が必要です。明日から薬の処方を変更して、服用回数も今までの一日三回から一日一回に変わります。」

「はい。」伊紗はうなずいた。

小林綾乃はさらに言った。「それから、お母様はすぐにベッドから降りて歩くのは適していません。車椅子を用意して、毎日昼に彼女を外に連れ出して30分ほど日光浴をさせてください。」

伊紗はすぐに尋ねた。「母はいつ頃から普通に歩けるようになりますか?」

「おそらく明後日からですが、注意してください。徐々に進めていく必要があります。毎日歩く時間を合わせて1時間を超えないようにして、体をゆっくり慣らしていくことが大切です。」

「わかりました、問題ありません。」伊紗は一つ一つ丁寧にノートに記録し、何か見落としがないように気をつけた。

夜はすでに更けており、いくつかの事を伝えた後、小林綾乃と山下莉理は帰ることを申し出た。

ローセンとメアリー夫妻が小林綾乃を呼び止めた。

「名医さん、少々お待ちください。」

「何かご用でしょうか?」小林綾乃は少し振り返った。

ローセンは今や小林綾乃に対する疑いはなく、尊敬の念だけが残っていた。彼は妻の手を引き、二人は直接小林綾乃に跪いた。「名医さん、私たちの一人娘を治していただき、ありがとうございます!」

そう。

アベラはローセン夫妻の一人娘だった。

小林綾乃はアベラを救っただけでなく。

彼ら老夫婦の命も救ったのだ!

跪くことは和国での最高の礼儀だと聞いていた。今、小林綾乃は彼らに恩を施したのだから、彼らは当然最高の敬意を表す方法で小林綾乃に感謝しなければならなかった。

小林綾乃はすぐに二人を地面から引き上げた。「お二人とも、どうぞお立ちください。」

ローセンは使用人にゴールドカードを持ってこさせた。「名医さん、これをどうかお受け取りください。」

山下莉理は目ざとくそれが世界最高峰のみずほ銀行のゴールドカードだと認識した。

一般の人々はゴールドカードを持つどころか、この銀行にお金を預ける資格さえない。

彼女は少し驚いた。

伊紗の祖父母がこれほど気前がいいとは思わなかった。

山下莉理をさらに驚かせたのは実は小林綾乃の反応だった。