123:悪役を懲らしめる_4

「いいえ、うちの運転手が外で待っているから」

「わかった、家に着いたらメッセージをくれ」大橋然斗は続けて答えた。

大谷仙依は頷き、少し重い足取りで外へ向かった。

以前なら。

大橋然斗は何があっても彼女を家まで送っていただろう。

でも今は...

大橋然斗は彼女の気持ちを全く気にしなくなっていた。

大谷仙依の伏し目がちな瞳には怒りの色が満ちていた。

小林綾乃!

これは絶対に小林綾乃の仕業だ!

待っていろ。

いつか必ず、小林綾乃が彼女から奪ったすべてのものを、そのまま返してやる。

小林綾乃にシステムの助けがあったとしても、何だというの?

結局彼女は田舎の村娘に過ぎない。

自分は正真正銘のお嬢様なのだから。

大橋然斗は階段教室へ向かった。

大谷仙依の考えは正しかった、彼は小林綾乃を探しに行ったのだ。

大橋然斗は小走りで小林綾乃の後ろに来て、「小林綾乃、ちょっと待って」

小林綾乃は少し振り返り、「何?」

相変わらず簡潔な一言だった。

大橋然斗は深く息を吸い、心の中で言葉を選びながら、「小林綾乃、僕が前にたくさん間違ったことをしたのは分かってる、ごめん!」

彼は間違っていた。

本当に間違っていたのだ。

言い終わると、大橋然斗は少し腰を曲げ、「小林綾乃、君が許してくれるとは思わない。ただ、僕が変わるということを知ってほしいんだ」

この光景はちょうど一橋景吾の目に入った。

一橋景吾は目を見開いて、「三兄、早く見てよ」

「何を見るんだ?」山下言野は太陽穴を押さえた。

一橋景吾は続けた:「小林が告白されてるよ、あの男子、ちょっとイケメンだし」

最後の言葉を聞いて、山下言野は顔を上げて見た。彼の角度からは、ちょうど大橋然斗が腰を曲げている姿が見えた。

しかし距離が遠すぎて、彼らが何を話しているのかは聞こえなかった。

山下言野は少し眉をひそめ、顔に明らかに冷たい雰囲気が漂った。

一橋景吾の目には完全に見物人の色が浮かんでいた。

ツツツ!

三兄がこんな超ヤキモチ焼きだとは思わなかった!

幸い、すぐに小林綾乃は大橋然斗を避けて、こちらに向かってきた。

大橋然斗はただそのまま彼女の背中を見つめていた。