中川美鳥は背筋が寒くなり、心臓が激しく鼓動するのを感じた。
杉本瑠璃を見る目つきにも恐れが混じり、これが本当にあの世間と争わず、いじめられやすそうに見えた杉本瑠璃なのかと疑問に思った。
田中恵子は苦労して床から立ち上がり、近くにいた生徒が彼女を助け、椅子を用意した。田中恵子は座り、腕をさすりながら、中川美鳥と杉本瑠璃を厳しい目で見つめた。
「お前たち二人とも、教室で喧嘩をして、退学になりたいのか!」
以前は田中恵子も杉本瑠璃を警戒していた。杉本家が裕福だったからだ。今は杉本家が破産したので、田中恵子は当然杉本瑠璃に良い顔をしなくなった。
杉本瑠璃は田中恵子のこの態度をよく知っていた。前世では、田中恵子が強い者には弱く、弱い者には強い上に、金持ち贔屓だったため、家が破産し両親を亡くした後、田中恵子は口実を作って杉本瑠璃を冤罪で退学させた。