杉本瑠璃と斎藤きくこは同時に桐生誠一を白い目で見て、異口同声に言った。「来世で女に生まれ変わってからにしなさい」
桐生誠一は即座に悲鳴を上げた。彼は気づいたのだ。杉本瑠璃は斎藤きくこができてから、二人は統一戦線を張るようになったと。
桐生誠一は女子寮に入れないものの、二人を寮まで送り届けた。そこを離れずに立ち止まり、二人に言った。「僕はここで待ってるから、もし彼女たちが君たちをいじめたら、すぐに呼んでくれ。一番に駆けつけるから」
斎藤きくこは無表情で桐生誠一を見つめ、入り口の寮母さんを指差して言った。「あなたが寮母さんを説得している間に、上では全部終わってるでしょうね」
そう言うと、杉本瑠璃と斎藤きくこは笑いながら階段を上がっていった。桐生誠一は一人、寮母さんの前で呆然と立ち尽くすばかりだった。