第415章 新しい世界に入った(25)

「うん、頑張るよ。安藤間がいようといまいと、私は頑張る。安藤間の存在が、私に少しでも影響を与えることはないわ」

斎藤きくこは常に骨の髄まで気骨のある人で、彼女は自分の努力で他人の尊敬を勝ち取ることを望んでいた。

杉本瑠璃は微笑んで言った。「それが私の知っている斎藤きくこだよ。期待してるよ、将来は安藤間よりも有名になって、世界的に名を馳せるかもしれないね」

斎藤きくこは杉本瑠璃に冗談を言われて笑い出した。

彼女が世界的に有名に?

とりあえず今は地に足をつけて仕事をしよう。

「いいわ、もし将来私が偶然賞を取ったら、受賞スピーチであなたにきちんと感謝するわ!」

杉本瑠璃にからかわれて、斎藤きくこの性格も明るくなり、杉本瑠璃と冗談を言い合い始めた。

しかし、斎藤きくこは今の冗談が、将来本当に実現するとは思ってもみなかった。

「でも話は変わるけど、ちょっと噂話を聞きたいの。あの安藤間って、本当にカミングアウトしたの?あの金持ちたちのことは本当なの?」

安藤間の報道は今や街中で、知らない人はいないだろう。

斎藤きくこはこの件が杉本瑠璃と関係していることを知っていたので、少し好奇心があった。

杉本瑠璃は微かに微笑み、少し神秘的な笑みを浮かべた。「きくちゃん、いつからそんなに噂好きになったの?」

斎藤きくこは口をとがらせた。「蒼、あなたは私をこんなに長く知ってるのに、私のこんな趣味も知らないの?」

杉本瑠璃は笑った。「わかったわ。そんなに好奇心があるなら、満足させてあげる。あの報道は、すべて事実通りよ」

事実通り?

斎藤きくこはそれが本当だと感じていたが、杉本瑠璃がそう言うのを聞いて、それでも非常に驚いた。

「彼女は...本当にカミングアウトしたの?」

杉本瑠璃はうなずいた。「実はこれは珍しいことじゃないわ。この業界で名を上げたいなら、強力なバックがなければ、こういう手段に頼るしかないのよ」

斎藤きくこはそれを聞いて、心が沈んだ。彼女には強力なバックがない。彼女も...あの安藤間のようにならなければならないのだろうか?