第480章 Y市の風雲人物(40)

書斎のドアが開くと、水瀬玲奈はまるでネズミが猫を見たかのように、すぐに口を閉じ、三島おじいさまの方をちらりと盗み見た。

先ほどの威勢のいい様子とは、まるで別人のようだった。

「いつから私の書斎の前で、こんな大声で騒ぐことが許されたのかな?」

三島おじいさまの声は平坦だったが、人を息もできないほど圧迫するような感じがあった。

特に水瀬玲奈は、完全に息を止めて、無礼を働く勇気もなかった!

しかし、振り返って階下にいる息子の三島明と、傍らに立って非常に余裕のある杉本瑠璃を見ると、水瀬玲奈は勇気を奮い立たせた。

このような時に、彼女が話す勇気がなければ、三島明の結婚の件は、本当に杉本瑠璃に操られてしまうのではないか?

それはダメだ!

絶対にダメだ!

「おじいさま、私はただ知りたいのです。なぜ明ちゃんの結婚という大事なことを、あんな小娘に任せるのですか?私こそが明ちゃんの母親です。明ちゃんが結婚するなら、私が取り仕切るべきです!あの娘さっき、おじいさまがかおるちゃんを三島家に嫁がせることに同意したと言いましたが、きっと嘘をついているのでしょう!」