田中局長は気軽に食卓の横に座り、三、四十歳ほどの年齢で、厳しい表情を浮かべ、片手をテーブルに置いたまま中村お爺さんを見つめた。「中村先生、今回は突然の訪問で申し訳ありません。よろしくお願いします」
「とんでもない」中村修も老狐のように、ちょうど良い態度で微笑みながら答えた。「中村家にとって光栄です」
笑顔を見せながらも、中村修の心は大きく揺れていた。
陽城市では以前から、田中家は江渡の田中家の分家だという噂があったが、中村修は半信半疑だった。
最近、陽城市に突然一つの密令が下された。
江渡から田中局長が陽城市の監督のために派遣されるという。
突然の派遣に中村修が戸惑っているところへ、田中湊が田中局長の情報を持って訪ねてきた。
「オークション会場に本田徳厚の真筆があると聞きましたが?」田中局長は中村修が注いだ酒を受け取りながら、淡々と切り出した。
これも江渡の田中家から田中局長に与えられたもう一つの任務だった。
「はい、ですが最近オークション会場から通知がありまして」中村修は説明した。「本人の筆跡ではない可能性があるそうです」
田中局長は眉をひそめた。
中村修はそれを見て胸が高鳴った。「ただし、確かに真筆で、どうやら彼の弟子の一人のノートのようです。オークション会場は鑑定専門家を見つけ、現在鑑定中で、そのため競売は五日延期となっています」
「本当か?」田中局長は姿勢を正した。
「まだ鑑定中です」傍らで田中湊が急いで言った。「この件については私が密接に注視していきます」
周知の通り、千古の名相本田徳厚は、生涯で文羽天皇の他に二人の弟子しか取らなかった……
それは天才と呼ばれた白川家の兄妹だった。
文羽天皇が本田老中と同じ筆跡を使うはずがない。
もし他に誰かいるとすれば、それは白川家の兄妹のどちらかしかありえない。
どうやら、野史の伝説は根拠のないものではなかったようだ。江渡の高嶺の花のような田中家は古来より白川家の熱烈なファンで、田中家の私設博物館のほとんどは白川家の人の生前の品々であり——
代々白川家の位牌を祀っているのだ。
これは田中家にとって、本田徳厚の真筆以上に魅力的なものだった!
中村修は秘書長と目を合わせただけで、明らかに白虎オークションの招待状を何としても手に入れなければならないと悟った。
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一方。