135 打撃、二作者は白川華怜(2/2)

水島亜美が口を開こうとしたとき、電話を終えた斉藤笹美が近づいてきた。「文寺、父が言うには、木場院長が…」

彼女は水島亜美と安藤秀秋を一瞥した。

水島亜美は綿入れのコートを着て、形の整っていないニット帽をかぶっていた。ひどいセンスだった。斉藤笹美は渡辺文寺の腕に手を回し、「このお二人は…」

渡辺文寺は少し躊躇したが、いつもの穏やかな表情で水島亜美と安藤秀秋を紹介した。

二人が安藤蘭の親戚だと聞いて、斉藤笹美は興味なさそうに視線を外した。

「お弁当箱を私に渡してください。それと華怜の住所も教えてください。後で学校に戻る時に届けてあげます」と渡辺文寺は二人に言った。

渡辺文寺が安藤蘭の娘に弁当を届けると聞いて。

斉藤笹美は二人を軽く見やり、穏やかな口調で「でも文寺、父が学校で私たち二人を待ってるわ。木場院長の講演を見たがってたでしょう」