134窮地に活路、渡辺文寺が華怜に食事を届ける_2

松木皆斗は立ち止まった。

「無理そうね」白川華怜は視線を戻し、ゆっくりとキーボードに指を這わせて二文字打った。「だったら、少しは態度を改めたら？」

畑野景明は圧縮ファイルを開いていた。

中にはモデリングと分析があり、彼は素早く目を通してから、スクリーンショットをグループに送信し、白川華怜の方を向いて相談した。「少し複雑だね。今夜は全員残業で、寝られないよ」

明日は一日しかない。モデルを分析に組み込んで書き上げ、プレゼンの練習もしなければならない。

残業なしでは到底終わらない。

「分かってる」白川華怜はパソコンの画面を見つめながら、まだ入力を続けていた。「あなたたち先に分析して、結果を私と大野に送ってくれればいいわ」

二人は今後の段取りについて話し合っていた。

大野旭もグループ内の畑野景明が送ったスクリーンショットを見て、絶望から驚き、そして喜びへと表情を変えた。「畑野、お前らすごすぎだろ？このモデル、どこから手に入れたんだ？」

他のメンバーも次々と携帯を手に取り、畑野景明が送ったスクリーンショットを開き、白川華怜がグループに送った圧縮ファイルをダウンロードした。

畑野景明は答えず、ただ白川華怜を見つめた。

大野旭たちは瞬時にこれが白川華怜の手配したものだと理解し、お互いに視線を交わした。この時になってようやく、なぜ畑野景明と空沢康利が白川華怜を中心としているのか分かってきた。

「白川さん、あなたは俺の恩人だ！」大野旭は力強く拳を机に叩きつけた。「これからはあなたの事は俺の事だ！」

白川華怜：「……」

恩人？

一体誰が得をしているんだろう？

今の状況は死地から生還したようなものだった。他のメンバーも次々と席に着き、圧縮ファイルのダウンロードを始めた。

大野旭は松木皆斗の元へ行き、さりげなく右手の拳を揉みながら、自分のパソコンを取り戻した。

松木皆斗の視線に気付くと、大野旭は声を落として言った。「グループのメッセージを見てみろよ。白川さんが俺たちにモデルを見つけてくれたんだ」

松木皆斗は携帯を手に取った。

白川華怜と山田文雄が作ったモデルは決して小規模なものではなく、数理モデリングを理解すれば理解するほど、その価値が分かるものだった。松木皆斗も当然、このモデルが彼らが作ろうとしていたものとは大きく異なることが分かった。