141玉湖公園で安藤宗次を迎えに行く、爆発的ニュースになりそう(2)

白川明知は既に北区に戻っており、松木皆斗がまだ博源塾にいるため、松木奥様はまだ戻っていなかった。

ついでに江渡で新年を過ごすことにした。

白井沙耶香が学校の発表会に選ばれたと知り、松木奥様は時間を見つけては彼女を見に来ていた。

今日は松木皆斗が井上家で食事をすることになり、松木奥様は特別に白井沙耶香を迎えに来た。

江渡音楽学院で学ぶ生徒たちは、家柄がみな侮れないものばかりで、白井沙耶香の家柄は彼らの中では比較的低く、一緒に学ぶ生徒たちも彼女に対して冷たかった。

松木奥様は生徒が白井沙耶香の腕にすがりつくのを初めて見た。

白井沙耶香も驚いて、松木奥様の方を見て、落ち着いた様子で「ちょうど藤野院長にお会いしたところです」と言った。

「私も見ましたよ」松木奥様は感慨深げに言った。彼女が来た時、藤野院長が出て行くところを見かけたが、知り合いになる機会がなかったのだ。

紫のドレスを着た女子学生は笑顔で白井沙耶香と連絡先を交換し、「藤野院長の生徒になったら、私のことを忘れないでくださいね」と言った。

そう言って、彼女は白井沙耶香に携帯を振って去っていった。

「あなた...藤野院長の生徒に?」松木奥様は心臓が大きく跳ねた。彼女は驚いて白井沙耶香を見つめた。以前は二人が藤野院長の弟子について話し合っているのだと思っていた。結局、白井沙耶香は入門できなかったのだから。

「さっき藤野院長が自ら声をかけてくださいました」白井沙耶香は話し始めた。この数日間、白川華怜のことで不安だった心が今やっと落ち着き始めていた。

松木奥様は深いため息をつき、心の中で静かに考えをめぐらせた。

彼女は博源塾から松木皆斗を連れて井上家に戻った。松木皆斗はずっと黙っていたが、彼はもともと寡黙な性格だったので、白井沙耶香も松木奥様も特に疑問に思わなかった。

井上家では、藤野院長の件を聞いて、森中社長もわざわざ戻ってきた。

「沙耶香、よくやった」彼は笑顔で褒めた。

白井沙耶香は階段を上がってドレスを着替えに行った。

「明後日、沙耶香の発表会を見に行きます」松木奥様は元々渡辺家と白井沙耶香のことで悩んでいた。結局のところ、渡辺家は今や松木家では手の届かない存在となっていたのだから。