206 超えられない大学入試(その1)

第一の試験は国語でした。

試験用紙の冒頭は科学技術に関する文章で、専門用語が多く混ざっていました。白川華怜は試験用紙に目を通し、難易度を見積もりながら、森園雄のことを心配しました。

彼女は考えながら、試験用紙に答えを書き始めました。

試験監督の先生が巡回し、白川華怜の横で数秒間立ち止まりました。

館閣体は特徴がないため書道協会に認められず、現在では館閣体を研究する人は少なくなっています。館閣体は筆法と力強さ、そして構成が重要です。白川華怜の館閣体は梁体字の筆使いを取り入れており、どこで見ても優れた書と言えるものでした。

こんなに整った美しい答案は見たことがありませんでした。

受験生にプレッシャーを与えないよう、センター試験の監督は一人の生徒の横に長く立ち止まることはできません。そうでなければ、もっとその答案用紙を見ていたかったところです。