白川華怜は小型冷蔵庫のドアを開け、中を覗き込んでスプライトを一本取り出し、片手で開けて厚田千夏に渡した。「こんな遅くにどうしたの?」
厚田千夏は相手から渡されたスプライトを受け取った。
これは厚田千夏の好きな飲み物だった。
厚田千夏はテーブルに寄りかかり、不思議に思った。相手は自分の知っているあのバカ犬ではないような気がしたが、どこか懐かしさも感じた。
「明日また突然陽城市に帰っちゃうんじゃないかと思って」厚田千夏は目を伏せ、スプライトを一口飲んだ。
リビングの照明は暗くなく、白い光が白川華怜の顔に落ちていた。エアコンの風が彼女の髪を揺らし、彼女はソファに座り、面倒くさそうに横のゴミ箱を蹴りのけた。「そんなことはないよ」
そのリラックスした様子に、厚田千夏も緊張が解けた。彼女はスプライトの缶を弄びながら、「随分変わったね」と言った。