210 神秘な犬友との出会いとプレゼント_3

白川華怜は小型冷蔵庫のドアを開け、中を覗き込んでスプライトを一本取り出し、片手で開けて厚田千夏に渡した。「こんな遅くにどうしたの?」

厚田千夏は相手から渡されたスプライトを受け取った。

これは厚田千夏の好きな飲み物だった。

厚田千夏はテーブルに寄りかかり、不思議に思った。相手は自分の知っているあのバカ犬ではないような気がしたが、どこか懐かしさも感じた。

「明日また突然陽城市に帰っちゃうんじゃないかと思って」厚田千夏は目を伏せ、スプライトを一口飲んだ。

リビングの照明は暗くなく、白い光が白川華怜の顔に落ちていた。エアコンの風が彼女の髪を揺らし、彼女はソファに座り、面倒くさそうに横のゴミ箱を蹴りのけた。「そんなことはないよ」

そのリラックスした様子に、厚田千夏も緊張が解けた。彼女はスプライトの缶を弄びながら、「随分変わったね」と言った。

白川華怜はギターの弦に指を添え、少し顔を上げて、ゆっくりと言った。「一度死んだら、誰だって変わるものよ」

「じゃあ、本当に松木皆斗のために池に飛び込んだの?」厚田千夏はスプライトを握りしめ、眉をひそめた。彼女は良くない表情で白川華怜を見つめた。

これは事実だった。

白川華怜には反論の余地がなかった。

厚田千夏がまだ何か言いたそうな様子を見せていた時、白川華怜が突然立ち上がった。千夏が何をするのかと聞こうとした矢先。

ドアベルが鳴り、白川華怜はちょうどそのタイミングでドアを開けた。

ドアの外には間宮さんがいて、白川華怜にチケットを届けに来ていた。「白川さん、明後日の分です」

「ありがとうございます」白川華怜は受け取った。

部屋の中で、厚田千夏はまた不思議な感覚を覚えた。白川華怜はまるでドアの外に誰かいることを知っていたかのようだった。「誰?」

「間宮おじさん」白川華怜はチケットをドア脇のカウンターに適当に置き、何気なく答えて、自分の部屋に戻った。

厚田千夏は何気なく聞いただけだった。

白川華怜の後について部屋に入り、先ほどの話題を続けた。「松木皆斗なんて、成績がちょっといいだけで、顔だって梅田行長より全然…」

彼女は白川華怜が池に飛び込んだことが気に食わなかった。

すると白川華怜がスーツケースを開けるのが見えた。