277 枝に舞い上がった親戚、大神の記録(1更)

広間の雰囲気を、安藤秀秋は目に収めていた。

彼は驚いて木村浩を一瞥したが、特に何も言わず、ただ彼らに座るように促した。

以前、安藤宗次が鏑木執事に、彼らのために別のテーブルを用意するように言っていた。

しかし安藤宗次は年長者で、望月家はそういった礼儀を重んじるため、鏑木執事はこのテーブルを安藤秀秋のテーブルの左隣に配置し、振り向けば隣のテーブルと会話ができる距離に設定した。

木村浩は安藤秀秋に挨拶を済ませ、視線を食卓の他の人々に向けた。黒いコートが彼の眉目の冷淡さを一層際立たせていた。

藤井院長をはじめ、松田会長や各提携企業の代表たちは、目を合わせることを避け始めた。

先ほど安藤秀秋が来た時、水島亜美はほっとしていた。

今度は白川華怜が到着し、水島亜美はさらにリラックスした。空沢康利は笑顔で水島亜美に花村果凛のことを話しており、静まり返った広間で、このテーブルだけが和やかな雰囲気に包まれていた。