277 枝に舞い上がった親戚、大神の記録(3更)

望月綾瀬は彼女の後ろ姿を見つめ、軽く首を振って蘭林院に戻った。安藤秀秋と水島亜美がいて、鏑木執事がお茶を出していた。

安藤秀秋と水島亜美の二人は箱を開けていた。

望月綾瀬は席に座り、茶碗を手に取り、紙箱に目を向けた。

鏑木執事は静かに言った。「これは白川さんのクラスメートからの贈り物です。」

今日は贈り物が多く、倉庫には安藤秀秋への貴重な品々が並んでいた。望月綾瀬は大学生の方が気楽でいいと思った。心の負担がないから。

紙箱が開けられ、安藤秀秋は片手で中の花瓶を取り出した。

それは光り輝く桃と梨の花が舞う透かし彫りの二重構造の花瓶で、器に金箔が施され、年代物であることが分かる精巧な作りだった。

「ゴホン、ゴホン」望月綾瀬はお茶を飲みきれず、茶碗を置いて、躊躇いながら鏑木執事に尋ねた。「この花瓶、確かオークションのカタログで見たことがありませんか?」