「お茶を飲んで」白川華怜は黄原院長にお茶を差し出した。
今この時間にお茶なんて?
黄原院長はお茶を手に取り、一口飲んでみた。味は悪くなかった。しばらく落ち着いてから、何か言おうとして目を向けたところ、ソファで静かに本を読んでいる女子学生が目に入った。
島田凜の個性は明確だった。彼女はいつも黒縁メガネをかけ、前髪が長く、肩までの髪をしていた。
そこに座っているだけで、存在感はそれほど強くなかった。
黄原院長は一瞬固まり、「はっ」と立ち上がって驚いて言った。「島田凜?」
島田凜は本を閉じて立ち上がり、「黄原院長」と言った。
「本当に君なのか?」黄原院長は目を輝かせた。「この前君の研究室に行ったときは会えなかったけど、島田君、前回私が提案したことについて何か考えはあるかな」