パーティーを去った後、温井卿介は高価な夜会服を脱ぎ、普通の服装に着替えて、仁藤心春と一緒に住んでいるアパートまで車を走らせた。
仁藤心春はまだ寝ておらず、リビングでオンデマンドドラマを見ていた。
温井卿介が帰ってくるのを見て、彼女は彼の方へ歩み寄り、「こんな遅くに帰ってきて、お腹すいてない?もし空いてたら、夜食作るけど」と言った。
「大丈夫、空いてないよ」温井卿介は言い、彼女が見ているドラマをちらりと見て、「何を見てるの?」と尋ねた。
「昔のドラマよ。前は時間がなくて見れなかったから、今、昔見たかったけど時間がなくて見れなかった映画やドラマを見返してるの」と彼女は答えた。
これも彼女が願い事ノートに書いた願いの一つだった。
「そう?じゃあ、お姉さんと一緒に見よう」と彼は言った。