第99章 食事のもてなし

「あの……えっと、食事するのにいつも1フロア貸し切りにするの?」山本綾音は恐る恐る尋ねた。

「いいえ、今日は特別な日だから、フロアを貸し切ったの」温井朝岚は答えた。

山本綾音は思わず、彼の言う特別というのは、自分を見つけたことを指しているのかと考えた。

でもそう考えると、自意識過剰だと思い直した。あの時のことを思い出すと……ここまで考えて、彼女の目が一瞬曇った。しかしすぐに心に湧き上がる苦さを押し殺し、表情を平常に戻して言った。「1フロア貸し切りで食事なんて経験したことないわ。今日は初めての経験ができて、人生の貴重な体験になりそう」

「気に入ったなら、これからも度々フロアを貸し切って食事できるよ」温井朝岚は言った。

「げほっ、げほっ!」山本綾音は唾を飲みかけて咳き込んだ!