「私もよく分からないの。起きて、水が飲みたくなって、それで...部屋を出て、そして...」山本綾音は顔をより一層赤らめながら言った。彼女はぼんやりと、昨夜は確か心春と同じ部屋で寝て、それ以上のことは覚えていなかった。
つまり、昨日彼女が部屋を出たとき、綾音はまだ寝ていて、それから彼女が部屋を出て、綾音は寝ぼけながら起きて、部屋を出て水を飲みに行ったということ?
でも綾音が先ほど歩いてきた方向は、一階から階段を上がってくる方向ではなく、むしろ...
「まさか水を飲んだ後、温井朝岚の部屋に行ったんじゃないでしょうね!」仁藤心春が言った。
山本綾音は気まずそうに笑った。「へへ...へ...」
本当に温井朝岚の部屋に行っていたのだ。どうしてそうなったのかは全く覚えていないが、朝目を覚ましたときには、温井朝岚の服が床に散らかっており、彼女自身は彼の胸の上に伏せて、口の端からよだれを垂らしていた。
その光景を...今思い出すだけでも、山本綾音は地面に埋もれてしまいたかった。
親友のその様子を見て、仁藤心春は急に心配になった。「温井朝岚と何かあったんじゃないでしょうね。」
「な、なにもないわ、もちろん!」山本綾音は慌てて答えた。
しかしそう言いながらも、どうしても心が落ち着かなかった。
二人は部屋に入り、山本綾音が尋ねた。「あなたは?いつ部屋を出たの?」
「私も夜中に、喉が渇いて水を飲みに行こうと思って。」仁藤心春が答えた。
「じゃあ...温井卿介と一緒に夜を過ごしたの?」山本綾音は我慢できずに聞いた。
「あなたが考えているようなことじゃないわ。私と彼はそういう関係じゃないの。」仁藤心春は友達の額を軽く叩いた。
「でも付き合ってるんでしょう?」
「付き合ってはいるけど、感情的な関係じゃないの?」仁藤心春が言った。
温井卿介は彼女を暇つぶしの玩具としか見ていないし、彼女も取引の約束を果たしているだけなのだ!
山本綾音は少し混乱したようだったが、それでも真剣な表情で言った。「とにかく、どうあれ、もし本当に温井卿介と関係を持つことになったら、必ず避妊はちゃんとしてね!」
親友の心配そうな表情を見て、仁藤心春は思わず笑みを浮かべた。「分かってるわ、子供はできないから。」