第273章 私たちは結婚できる

山本綾音は病院で少しずつ回復していく父親を見ながら、心の重荷がようやく少し軽くなってきた。

父親の命に別状はなく、今回の怪我は父親の体に不可逆な損傷を与えたものの、適切な治療を受ければ、今後の日常生活に支障はないはずだ。また、火傷を負った部分は服で隠すことができ、将来的には植皮手術で徐々に回復することもできる。

ただし、医療費は当然安くはなく、短期間で既に50万元以上が出ていった。

今では山本お父さんは話せるようになっていた。

「すまない、お前に迷惑をかけてしまって。高額な治療は必要ない、保守的な治療で十分だ。これからお金が必要なことはたくさんあるだろう。私がこんな怪我をしたせいで、お前の結婚も...」

「お父さん、何を言ってるの?私に迷惑なんてかけてないでしょう!」と綾音は言った。「この数年で私もある程度稼いできたから、十分よ。足りなくても何とかするから、お金のことは心配しないで。それに、あなたが怪我したからって私と一緒になりたくないような男なら、そんな男はいらないわ。私だって一生病気にならない、事故に遭わないなんて保証できないでしょう?もし将来私が病気になったり事故に遭ったりしたら、その男は私を見捨てるってこと?」

山本綾音は率直に言った。

この言葉に、山本お父さんは何も言えなくなった。

「もういいから、今は体を治すことに専念して。他のことは心配しないで。あなたが良くなることが、私たち家族全員の幸せなのよ。綾音はもう大人なんだから、子供扱いしないで!」と山本お母さんは言った。

「そうだな、本当に大きくなったよ!」と山本お父さんは感慨深げに言った。

この期間、娘は病院で忙しく動き回り、まるで本当の家長のようだった。

今の彼にできることは、できるだけ娘の負担にならないようにすることだけだった。

山本綾音は父親に付き添い続け、父親が少し食事をして眠りについてから、やっと帰ろうと思った。

山本お母さんは綾音にまた支払い伝票を渡した。これは新たな支払いが必要になったことを意味していた。

「綾音、このお金...本当に大丈夫なの?」と山本お母さんは心配そうに聞いた。

現在の治療費は毎日数万円かかっており、長期的に見れば確かに重い負担となる。