第301章 温朝岚の底線

温井朝岚は携帯を手に取り、着信を確認すると、眉をしかめた。

着信番号は、おじいさまの秘書からのものだった。

温井朝岚は電話に出て、しばらく聞いた後、表情が一変した。「分かりました、すぐに行きます!」

携帯を片付けると、山本綾音が尋ねた。「何かあったの?」

「おじいさまの容態が急に悪化して、今病院に運ばれたんだ。行かなきゃ。」と温井朝岚は言った。

山本綾音は驚いた。彼のおじいさまと言えば、温井家のあのおじいさまだ!

このおじいさまが病院に運ばれたとなれば、明日の塩浜市のニュースは大騒ぎになるだろう。結局、塩浜市では、おじいさまの一挙手一投足に注目している人が大勢いるのだから!

「じゃあ、早く行って。」と山本綾音は言った。

「すまない、今日は写真を撮らせると約束したのに……」温井朝岚の顔に申し訳なさそうな表情が浮かんだ。