血に染まったキス

仁藤心春の体が急に硬直し、そこで近くに座っている温井卿介の姿に気づいた。

混乱していた頭は、温井卿介を見たその瞬間、むしろ突然冴えてきた。

「ここはどこ?」彼女は不安な感情を落ち着かせながら、できるだけ冷静な声で尋ねた。

彼女は展志ちゃんのママなのだ。冷静でなければならない。そうしてこそ展志ちゃんを取り戻せる。

「ここは僕の別荘だよ」温井卿介は微笑んで言った。「君のために特別に用意した別荘なんだ」

「私のため?」彼女は眉をひそめた。

「そう、君のためさ。君は三年間も姿を消していた。だから僕はこの別荘に来るたびに、いつになったら君を見つけられるのかと考えていたんだ。見つけたら、この別荘に閉じ込めて、どこにも行けないようにしようって」彼はゆっくりと言いながら、手に持ったグラスを上げ、赤ワインを一気に飲み干した。

仁藤心春は背筋が凍る思いがした。閉じ込める?

彼は本当に彼女をこの別荘に閉じ込めるつもりなのか?!

「あなたには...私を閉じ込める権利なんてない。私はあなたの所有物じゃない!」彼女は厳しい声で言った。

「もちろん分かってるさ」彼はワイングラスを置き、彼女の前に歩み寄り、身を屈めて彼女の顎を掴んだ。「君は僕のお姉さんだろう?こうして閉じ込めておけば、もう二度と僕を置いて行けないんだ!」

彼の動作は極めて優しかったが、彼女は顎が痛むような感覚を覚え、彼の指が触れた場所が焼けるように熱かった。

「温井卿介、離して!」彼女は彼の指を顎から引き離そうとした。

しかし彼は逆に彼女の両手首を掴み、頭上に押し上げた。「お姉さん、冗談じゃないよ。今更僕が君を放すと思ってるの?三年ぶりだというのに、君はますます天真爛漫になったね」

その口調は、まるで愛しい人との戯れを楽しんでいるかのようだった。

「あなた...」仁藤心春が口を開こうとした瞬間、温井卿介の唇が覆い被さってきた。

「んっ...やめて...」彼女は抵抗したが、彼の舌は容易に彼女の歯を押し開き、口の中に侵入してきた。

彼の舌は彼女の舌に絡みつき、絶え間なく吸い上げ、舌先で口腔内を擦り、まるで彼女のすべてを飲み込もうとするかのようだった。

このようなキスは、息も詰まるほど激しかった。