芦原雅子はネット上の問題に頭を悩ませていた。
会社に直接押しかけてきて、夏目星澄にインタビューを求め、実際に金持ちの愛人になって正妻を離婚に追い込んだのかと問いただす者までいた。
さらにひどいことに、天光ジュエリーの前でプラカードを掲げて抗議し、謝罪と説明を要求する者もいた。
芦原雅子は当然、夏目星澄を表に出すことはせず、個室に待機させて嫌がらせから守っていた。
夏目星澄は外の騒ぎを一瞥し、ネット上での自分への冷ややかな嘲笑も目にした。
突然、何百万人ものファンを持っているような気分になった。
もっとも、それらは全てアンチファンばかりだったが。
しかし彼女は手をこまねいているわけではなく、この事件の黒幕が誰なのかを考えていた。
実際、この件はそれほど複雑ではなく、誰が彼女を陥れようとしているのか想像がついた。