林田真澄は事件を弁護士に任せ、林田瑶子を家に連れて帰った。
夏目星澄は林田瑶子に家族が付き添っているので、もう心配する必要はないと思った。
タクシーを呼ぼうとしたその時、霧島冬真が車を彼女の前に停めた。「送っていくよ」
しかし夏目星澄は乗りたくなかった。彼女は丁寧に断った。「結構です。配車サービスを呼んでいますので」
「夏目星澄、乗れ」
相談ではなく、命令だった。
冷たい風が吹き抜けた。
夏目星澄は思わず身震いした。
彼女が呼んだ配車サービスはあと10分ほどで到着する予定だった。
お腹の子供のことを考えると、風邪をひくわけにはいかない。
結局、霧島冬真の車のドアを開けた。
霧島冬真は夏目星澄が後部座席に座ろうとするのを見て、すぐに不機嫌な声で言った。「運転手扱いか?前に座れ」