第136章 命の恩人

夏目星澄は空港に向かう記者として、早川晴乃の狂気じみた行動に関わりたくなかったし、花井風真との揉め事にも巻き込まれたくなかった。

しかし、この二人は彼女を放っておく気はなかった。

早川晴乃は顔を歪ませながら夏目星澄の前に立ちはだかり、「今日はハッキリさせてもらうわ。そうでないと行かせないわよ」

夏目星澄も苛立ちながら彼女を睨みつけた。「早川晴乃、あなたには私に近づかないことをお勧めするわ。さもないと容赦しないわよ」

その時、花井風真が来て早川晴乃を脇に引っ張り、鋭い声で言った。「もういい加減にしろ。早くここから離れろ」

早川晴乃は狂ったように暴れた。「いやよ!行かないわ!風真さん、この数日間ずっとここをうろついているのを見てたわ。夏目星澄はろくな女じゃないのよ。もう彼女に騙されないで!」

花井風真も最後の忍耐を失った。「もういい!早川晴乃、お前が女性だから面倒は避けたかったが、度が過ぎている。まさか俺をストーカーするとは!」

「お前がどう思おうと関係ない。前にも言ったが、俺はお前のことが好きじゃないし、結婚もしない。もう俺に関わるな」

早川晴乃も花井風真をストーカーしたくはなかったが、彼が会ってくれないから仕方なく、このような行動に出たのだった。

ただ、彼女は花井風真が電話に出ず、メッセージも返さない理由が、夏目星澄を見張っていたからだとは思いもしなかった。

そして今日、花井風真はついに我慢できずに夏目星澄と会ったのだ。

二人はとても親密な様子だった。

早川晴乃はそんな二人の姿を見て、耐えられるはずがなかった。

花井風真は彼女が目をつけた男性で、どんなことがあっても他の女に取られるわけにはいかなかった!

早川晴乃は突然、涙ながらに花井風真に懇願した。「違うの!風真さんは私のことを愛してるはず。お願い、私と一緒に行って。もう彼女のことは気にしないで」

夏目星澄は二人の茶番劇を十分に見た。

立ち去ろうとした時、花井風真は早川晴乃を振り切って追いかけてきた。「星澄、どこに行くんだ?送っていくよ」

夏目星澄は無表情で言った。「結構です。自分で行けます。あなたは自分の問題を先に解決してください」

しかし花井風真は諦めなかった。「ダメだ、心配だ。運転手として扱ってくれていい。何も言わないから、いいだろう?」