第192章 夏目晴貴の救助要請

もし霧島冬真がこの言葉を離婚前に夏目星澄に言っていたら。

彼女はきっと感動していただろう。

でも今は、彼女の心には何の波風も立たなかった。

霧島冬真の言葉が本心なのか、試しているだけなのか、それとも面白半分なのか分からないから。

それに彼がこれほど復縁にこだわるのも、彼女のお腹の子供のためだけ。

「私はあなたの妻という立場に興味はないし、復縁もしたくありません。それは前から言っていたのに、あなたが信じないだけです」

「でも構いません。私は実際の行動で証明しました」

最初に霧島冬真と結婚を決めたのは、彼という人のため。

もし彼のことを気にしなくなったのなら、外面的なことなど気にするはずがない。

夏目星澄は、霧島冬真が突然態度を大きく変えたのは、彼女の細やかな気遣いや従順さに慣れてしまったからだと思った。