第194章 私はあなたのためを思って

高級病室内。

運転手は霧島冬真が来たのを見て、すぐに事の経緯を説明した。

そして、夏目晴貴を警察に引き渡さず、霧島冬真の処置を待っていた。

霧島冬真の眼差しは刃物のように鋭く、夏目晴貴を射抜いた。

その端正な顔は水を絞れるほど暗く、全身から冷気を放っていた。

夏目晴貴は彼の視線に逃げ場を失った。

まるで死人のような顔色になった。

霧島冬真の威圧感があまりにも強く、怒りに満ちた姿は更に恐ろしかった。

夏目晴貴は恐怖で頭が真っ白になり、足が震え、本能的に逃げ出したかった。

しかし、手足をしっかりと縛られていて、身動きが取れなかった。

霧島冬真は近づくと、思い切り蹴りを入れた。

夏目晴貴は壁に叩きつけられた。

ドンという大きな音が響き、背後の壁まで震えた。

夏目晴貴は硬い壁に背中を打ち付けられ、痛みで冷や汗を流した。