第213話 撮影クルーから追い出される

今回の撮影で、三浦和靖はずっと彼女のことを気にかけてくれていた。

どうやって感謝すればいいのか分からないでいた。

彼女が手伝えることがあるなら、当然断る理由はない。

「面倒なんてことはありません。どんなことか教えてください。できることは必ず手伝います」

三浦和靖は少し深刻な表情で言った。「宮本恵里菜のことは君も聞いているだろう。今、彼女の評判が非常に悪くて、私たちの制作チームに大きな影響を与えている。多くの人がこのドラマを批判し始めている。だから、制作側と相談して、彼女をヒロイン役から降ろして、別の人に演じてもらうことに決めた」

「だから、以前彼女と撮影した対面シーンを、もう一度最初からやり直さなければならない。もちろん、無駄な撮影にはしない。元のギャラに20万円上乗せする」

夏目星澄は驚いた表情を見せた。「あの件、本当にそんなに深刻なんですか?」

三浦和靖は頷いた。「ああ、宮本恵里菜一人のせいで、制作チーム全員の努力を無駄にしたくない。幸い、彼女が撮影したのは1ヶ月だけだから、キャスト変更もそれほど面倒ではない」

「宮本恵里菜は知っているんですか?」

「制作側の人間に既に通知させた。彼女はもうすぐ撮影所を去る。新しいヒロインは明日には来られる。その時、君たち二人のシーンを集中的に撮影して、だいたい1週間で終わらせられる。どうだろう?」

「私は特に問題ありません」

三浦和靖は笑顔を見せた。「それは良かった。すぐにスタッフに準備させよう。もちろん、君の協力には報いるつもりだ。制作側と相談して、ギャラを10万円上乗せすることにした」

夏目星澄はすぐに断った。「お金は結構です。そもそもこの件は私が原因なので、損害賠償を請求されないだけでもありがたいです」

三浦和靖は説明した。「それは駄目だ。話は別だ。君に損をさせるわけにはいかない。宮本恵里菜に関しては、彼女のやり方は一朝一夕のものではない。以前は知らなかったが、最近周りの友人から聞いた。もし撮影が全部終わってから、彼女の黒い噂が暴露されたら、その損失は本当に大きなものになる」

「じゃあ、そういうことで。君は休んでいてくれ。私にはまだ他の用事があるので、行くよ」

その時、契約解除の書類を受け取った宮本恵里菜は、怒りで体が震えていた。

「なぜ?なぜ私と契約を解除するの!」