霧島冬真は今回の帝都での滞在で夏目星澄に会えないと思っていた。
ホテルに戻って最初にしたかったことは酒を飲むことだった。
自分を酔わせることでしか、この苦しみから逃れられないと感じていたからだ。
しかし、酒が運ばれてきたその時、携帯に一通のメッセージが届いた。
無意識のうちに画面を見た。
表示された番号を見て、彼は信じられない思いで驚いた。
なんと夏目星澄からのメッセージだったのだ!
霧島冬真は携帯と目の前の赤ワインを交互に見つめた。まだ一口も飲んでいないのだから、酔いの幻覚ではないはずだ。
そこで急いで携帯を開き、メッセージの内容を確認した。
「あなたが帝都にいることは知っています。私は帝都ホテルの1208号室にいます。会って話をしましょう。」
霧島冬真は夏目星澄が自ら話し合いを持ちかけてきたことに、興奮を抑えきれなかった。