翌日、夏目星澄がプレゼントを用意して出かけようとした時、突然携帯が鳴り出した。
見知らぬ番号だったので、無視して切ってしまった。
一方、電話を切られた花井正道は、顔色が一変した。
夏目星澄という女は、あまりにも分かっていない。彼の電話に出ないなんて!
怒って、もう一度夏目星澄に電話をかけた。
霧島冬真はそれを聞いて、低い声で尋ねた。「なぜ電話に出ないの?」
夏目星澄は不思議そうな顔をして、「知らない番号だから、たぶん広告か営業の電話でしょう」
「そう、じゃあブロックしておけば。警察署に行く時は気を付けて、着いたら連絡してね」
霧島冬真は実は夏目星澄と一緒に行って、彼女の本当の両親に会いたかった。
しかし今の自分の状態は良くないし、夏目星澄と離婚もしたので、もはやその資格もない...
夏目星澄は頷いて、ブロックしようとした時、誤って通話ボタンを押してしまった。
すぐに電話の向こうから不満げな声が聞こえてきた。「夏目さん、随分と偉そうですね。私の電話を二回も無視するなんて」
夏目星澄はその声に聞き覚えがあった。「花井お爺様ですか?」
花井正道は鼻を鳴らした。「私だと分かっていて、電話を切るとは」
夏目星澄は呆れた。「あなたの電話番号は私の携帯には登録されていない番号なので、拒否するのは当然の反応です。まあいいです、何か用件でも?」
彼女は年配者とあまり揉め事を起こしたくなかった。
霧島冬真は花井正道からの電話と聞いて、直感的に良くないことだと感じ、夏目星澄にスピーカーフォンにするよう合図した。
夏目星澄は霧島冬真を心配させたくなかったので、すぐにスピーカーフォンにした。
「大したことではないんだが、午後に夏目さんとちょっと話がしたいと思って」花井正道は招待するような言い方をしたが、その口調はむしろ命令のようだった。
夏目星澄は警察署に急いでいたので、花井正道と話をする時間なんてなかった。
「申し訳ありませんが、花井お爺様、私は午後用事がありますので、お話する時間がありません。何かおっしゃりたいことがあれば、今おっしゃってください」
花井正道は自分が断られたと聞いて、血圧が上がった。「夏目さん、霧島冬真が後ろ盾にいるからって、私を無視していいと思っているんですか?」