第400章 君が恋しい

夏目星澄は手にしたスーツケースを置くと、すぐに窓際に駆け寄り、声を詰まらせて言葉が出なかった。

ベッドの上の松岡静香も感情が高ぶり、たくさん話したいことがあるようだったが、一言も発することができなかった。

田中雨生と松岡芝乃は夏目星澄の後ろに立ち、冷ややかな表情でこの様子を見ていた。

夏目星澄は心痛めながら女性の顔に触れ、そして振り返って田中雨生と松岡芝乃を見つめ、「病気だけだと言っていたのに、どうしてこんな状態になってしまったの?」と尋ねた。

松岡芝乃は困ったような表情で言った。「星澄、私たちも故意じゃなかったの。ただあなたを心配させたくなくて、隠していただけなの。でもあなたが帰ってきてくれて良かった。お姉さんはあなたを見て喜んでいるわ。きっと病気も良くなるはずよ。」