田中雨生の裏の目的を知らなければ、夏目星澄は本当に彼らの好みのプレゼントを買っていたかもしれない。
しかし、今は対立する時ではない。
「もちろん問題ありません。おじいちゃんおばあちゃんが喜ぶものを必ず買います」
松岡芝乃は夏目星澄があまりにもすんなりと承諾したのを見て、若いから騙しやすいと思った。
「やっぱりいい子ね。ちょうど私の知り合いが宝石店で働いているから、そこで買えば安くなるわ。とりあえず5万円振り込んでくれれば、余ったら返すし、足りなかったら私が補填するわ。どう?」
夏目星澄も愛想よく答えた。「それは申し訳ありません。プレゼントは自分で選んでこそ誠意が伝わりますから。お友達には迷惑をかけたくありません。恩を売られるのも良くないですし」
松岡芝乃はこんな良い機会を逃したくなかった。「でもあなたは土地勘がないでしょう。騙されたらどうするの?私が一緒に行ってあげましょうか」