第442章 霧島お婆様の長寿を祝う

翌日、霧島冬真と夏目星澄は一緒に霧島家の本邸へお婆様の誕生日のお祝いに向かった。

本邸の門に着くと、登坂萌乃が出迎えに来て、星澄を見るなり涙ぐんでしまった。

一年ぶりに霧島家の本邸を訪れ、かつての家族に再会した夏目星澄の心は複雑な思いで一杯だった。

霧島お婆様の感情を感じ取ったのか、彼女も目が赤くなり、「お婆様、久しぶりです。会いたかったです」と言った。

登坂萌乃は我慢できずに夏目星澄を抱きしめた。「星澄や、お婆ちゃんも会いたかったよ」

夏目星澄はお婆様の背中を優しく叩きながら、「お婆様、お誕生日おめでとうございます」と言った。

登坂萌乃は星澄の手をしっかりと握り、「ああ、いい子だね。お婆ちゃんと一緒に中に入りましょう」

星澄の傍らに立っていた霧島冬真は、実の祖母から透明人間のように扱われ、一言も言わずに家の中に入った。

家の中で、水野文香は物音を聞いてキッチンから出てきて、星澄が来ているのを見ると目を輝かせた。「星澄、やっと来たのね。お婆様がずっとあなたのことを気にかけていたのよ」

夏目星澄は微笑みながら水野おばさんに挨拶をした。「水野おばさん、こんにちは」

「ああ、どうぞ座って」水野文香は熱心にもてなし始めた。「さっきキッチンに、あなたの好きな料理をたくさん作るように頼んでおいたの」

霧島冬真が入ってきた時、目にしたのはこのような温かい光景だった。

霧島家がこんなに賑やかだったのは久しぶりのことだった。

登坂萌乃は星澄を見てから、目に涙を溜めていた。この嬉しい日に涙を見せまいと必死に堪えているようだった。

皆が座ってから、星澄は霧島お婆様の手を握りながら、用意した誕生日プレゼントを取り出した。「お婆様、これが私からのプレゼントです。気に入っていただけたら嬉しいです」

登坂萌乃は星澄の手を離すのを惜しみながら、頷いて言った。「冬真から聞いたわ。最近ずっと撮影で忙しくて大変だったのに、どうしてプレゼントまで用意してくれたの。お婆ちゃんは何も不自由していないのよ。ただ時々会いに来てくれれば十分よ」

星澄は軽く笑いながら、「お婆様が何も不自由していないのは分かっています。でも今日はお誕生日ですから、プレゼントは必ず用意しないといけません。それに私の撮影もすぐ終わりますから、その後休暇がありますので、毎日お会いに来られます」