翌日、霧島冬真と夏目星澄は一緒に霧島家の本邸へお婆様の誕生日のお祝いに向かった。
本邸の門に着くと、登坂萌乃が出迎えに来て、星澄を見るなり涙ぐんでしまった。
一年ぶりに霧島家の本邸を訪れ、かつての家族に再会した夏目星澄の心は複雑な思いで一杯だった。
霧島お婆様の感情を感じ取ったのか、彼女も目が赤くなり、「お婆様、久しぶりです。会いたかったです」と言った。
登坂萌乃は我慢できずに夏目星澄を抱きしめた。「星澄や、お婆ちゃんも会いたかったよ」
夏目星澄はお婆様の背中を優しく叩きながら、「お婆様、お誕生日おめでとうございます」と言った。
登坂萌乃は星澄の手をしっかりと握り、「ああ、いい子だね。お婆ちゃんと一緒に中に入りましょう」
星澄の傍らに立っていた霧島冬真は、実の祖母から透明人間のように扱われ、一言も言わずに家の中に入った。