第480章 あなたが手を出せる相手ではない

夏目星澄はようやく霧島冬真に高梨菜々のことを伝えていなかったことを思い出した。本来は彼が帰ってきてから話すつもりだった。

しかし今、彼が声を聞いたので、説明する必要があった。

夏目星澄はまず携帯を握りながら高梨菜々に小声で言った。「菜々、ありがとう。そこに置いておいて。」

高梨菜々は夏目星澄が電話をしているのを見て、思わず尋ねた。「星澄さん、霧島さんと電話してるんですか?」

夏目星澄は深い眼差しで彼女を見つめた。「他に用事?」

高梨菜々は気まずそうに笑った。「いいえ、何もないです。ゆっくり話してください。私は戻ります。」

夏目星澄はようやく視線を戻し、霧島冬真に説明した。「高梨菜々よ。前に病院で助けた若い女性…」

彼女は事の顛末を霧島冬真に説明した。

霧島冬真が聞いて最初に反応したのは、高梨菜々を出て行かせることだった。「星澄、あの女性は置いておけない。どうにかして出て行ってもらわないと。」