第473章 高梨菜々が家に押しかける

夏目星澄はこの夜、不眠に悩まされた。

朝も普段より遅く起きた。

ぼんやりと階下に降りて朝食を食べ、また部屋に戻って少し寝ようと思った。

しかし、彼女が階段を上がったところで、中村おばさんの携帯が鳴り始めた。管理事務所の責任者からの電話だった。

「中村さん、門の前に若奥様のお友達だと名乗る若い女性が子供を連れて来ているんですが、警備員が入れないようにしたら騒ぎ始めました。子連れの方なので大変そうだったので警察は呼んでいませんが、若奥様に確認していただけますか?高梨菜々という方で、写真を送りましたので。」

普段、霧島冬真が不在の時は中村おばさんが管理事務所とやり取りをしていたので、自然と連絡先を交換していた。

「分かりました。確認して、後ほど返事します。」

中村おばさんは写真を開いた。若く見えるが、服装や身なりは古めかしい女性で、1歳にも満たない子供を抱いていた。