第490章 途方もない夢

登坂萌乃は高梨菜々が手にしていたナイフを下ろすのを見て、ゆっくりと安堵の息をついた。少なくとも人命は失われずに済んだ。

彼女の傷の手当てをしてもらいながら、彼女が抱いている子供を注意深く観察した。その子はやや痩せて元気がなく、病気のように見えた。

高梨菜々は霧島お婆様が自分の子供を見つめているのに気づき、急いで子供を彼女に差し出した。「お婆様、この子をよく見てください。霧島冬真そっくりじゃありませんか。ふゆちゃんは確かに彼の息子なんです!」

登坂萌乃は少年の顔をじっくりと見たが、その子供と霧島冬真との間に似ているところは見当たらなかった。

さらに、この子供はさっきまであんなに泣いていたのに、急に静かになってしまい、とても心配だった。「誰の子供かはともかく、顔色が悪いから病院で診てもらった方がいいわ。」