第507章 妻を看病するのは苦ではない

聞いて、夏目星澄は無意識に自分の胸に触れ、そこが確かに空っぽだった。

「手術の後、冬真が預かってくれたのかもしれない」

登坂萌乃は眉をひそめ、嫌な予感がした。

「後で彼に聞いてみましょう。まずは赤ちゃんに授乳しましょう」

授乳が終わってまもなく、霧島盛一と霧島冬真が戻ってきた。

登坂萌乃は赤ちゃんを抱きながら笑顔で尋ねた。「冬真、私が星澄にあげたヒスイの観音様、預かっているでしょう?後で彼女に返してあげて。お祈りしたものだから、彼女の無事を守ってくれるはずよ」

霧島冬真は首を振った。「ヒスイの観音様なんて見ていません」

登坂萌乃は困惑した表情を浮かべた。「大晦日に星澄に新年のプレゼントとしてあげたのよ。その後火事になって、星澄は病院に運ばれたけど、ずっと身につけていたはずよ」