第72章 小山千恵子の顔を潰すのが目的!

浅野武樹は冷たく鼻を鳴らした。

桜井美月の表情が全てを物語っていた。

「桜井美月、やり過ぎるな。私が小山千恵子に対するお前の度重なる仕打ちを容認しているのは、お前を甘やかしているからではない。まだ彼女を助ける時期ではないと判断しているからだ。」

浅野武樹は椅子の背もたれに寄りかかり、足を組んで、目の前の女を見下ろすような目つきで見た。

「確かに私は小山千恵子に番組を降りさせるため、いくつかの手段を使った。だがお前は私の予想以上に貪欲だったようだな……」

桜井美月は浅野武樹にこのような態度で厳しい言葉を投げかけられたことは一度もなかった。

それは脅しとも言えるものだった!

彼女は青ざめ、細い白い手で車椅子の肘掛けを必死に掴み、指が変形するほどだった。

「熊谷玲子のせいです。彼女がデザイン画で私を騙したんです!私が小山千恵子に仕返ししたのは、岩崎さんを愛しているからです!小山千恵子のせいで私はこうなってしまった。毎日心を刺すような痛みに耐えながら、もう一度立ち上がるためにがんばっているのに、なぜ彼女にも少しは苦しみを味わわせてはいけないのですか!」