第173章 あなたの子供でもあるのよ

小山千恵子は化学工場から連れ出され、入り口で恐怖で足がすくんだ藤原晴子に抱きしめられた。

「千恵子、大丈夫?本当に心配したわ!」

小山千恵子は生ける屍のように、呆然と炎を見つめていた。

彼女の優子がまだ中にいる。

浅野武樹もまだ中にいる。

このろくでなしの男、また彼女を騙したのだ!

優子を無事に連れ出すと約束したはずなのに……

小山千恵子の体は激しく震え、涙が止まらずに流れ落ち、心は刃物でかき回されるように痺れるほど痛んだ。

もし彼女がもっと注意を払って、優子をしっかり守っていれば、もし帝都に連れ帰らなければ、これらすべては起こらなかったのではないか?

小山千恵子の目は煙と火で痛かったが、少しも視線を逸らそうとはしなかった。

藤原晴子は涙を流しながら、小山千恵子をしっかりと掴んで、火の海に飛び込むような愚かな行動を取らないよう必死に止めていた。