KRの幹部たちは会心の笑みを浮かべ、賞賛の眼差しを桜井美月に向けた。
彼女は目に浮かぶ得意と誇りを必死に隠そうとしたが、浅野武樹にはすべて見透かされていた。
彼は思わず拳を握りしめ、目に冷たい光を宿した。
桜井美月という女は、一体何を企んでいるのか?
「桜井秘書は、さすが浅野家の良き助け手ですね。先ほどの提案の説明は的確で、とても素晴らしかった」
「なるほど、浅野家がこんなに早く一千億を達成できたわけだ。夫婦で協力すれば仕事も楽だ。我々老人には及びませんな」
「今回は浅野グループの映画芸術業界への進出に、より一層の自信が持てました」
浅野武樹は気づかれないように目を細め、浅野遥の思惑を理解した。
KRグループとの提携を足がかりに、浅野武樹はA国での人脈を広げ、一気にハリウッドに進出する計画を立てていた。