第239章 私のところに来ないか

小山千恵子は気を取り直し、立ち上がって会議テーブルに向かって歩いていった。

「取締役、株主の皆様、私はただの一本部長に過ぎず、秘書室の決定に対して、干渉する権利はありません。」

小山千恵子は目を伏せ、ポケットからUSBメモリを取り出し、会議室のパソコンに差し込んだ。

「しかし、取締役の皆様がお尋ねになったので、私の意見を述べさせていただきます。」

小山千恵子はパワーポイントを開き、詳細なデータとグラフが大画面に映し出された。

「浅野グループのファッションデザイン産業の本部長として、私は浅野グループが今この時期に映画芸術産業に参入することに賛成できません。」

会場が騒然となった。

「取締役会の決議は全会一致で通過したのに、彼女は何を反対しているんだ。」

「そうだよ、若気の至りだね。これが浅野社長の意向だということを知らないのかな。」