第343章 記者会見が中断される

家族。

テレビの前の小山千恵子は、風邪薬の入ったマグカップを見つめながら、目に涙が浮かんでいた。

浅野武樹の言葉を聞いて、彼女は突然、祖父が結婚式の時に書いてくれた手紙を思い出した。

——千恵子さん、家族はあなたの最も強い味方です。祖父が生きている間は、あなたをしっかり守ります。祖父が亡くなった後は、浅野武樹という若者があなたが人生を共にする家族となります。人生は波乱万丈ですが、お互いに支え合って生きていってください。

彼女はかつて、すべての愛と信頼を、何の躊躇もなく浅野武樹に捧げた。

同時に、自分のすべての弱点と欠点、気性と甘えも、彼の前にさらけ出していた。

猫は信頼する相手にしか、最も柔らかいお腹を見せない。

しかし彼女の信頼は、深い傷となって返ってきた。

浅野武樹は何もなかったかのように、あんなにも落ち着いて、あんなにも率直に話す。まるで最初から、彼女を疑い、罰した男が自分ではなかったかのように。