第341章 彼女は病気？

翌日早朝、浅野武樹は夜明け前に起きて今日の予定の準備を始めた。

ハンドドリップコーヒーを入れようとして、不注意で熱湯が指にかかってしまった。

浅野武樹は冷水で冷やしながら、飛び散る水しぶきを見つめていた。

認めざるを得なかった。珍しく心に緊張が走っていた。

もし自分のことだけなら、少しの躊躇もなかっただろう。

しかし小山千恵子が関わると、状況は全く異なってくる。

かつての弱点が戻ってきた上に、今度は幼い子供たちも加わっていた。

いずれにせよ、今回の記者会見では慎重に進めなければならない。

この記者会見は表向き、エスカレートする世論を鎮めるためのものだった。しかし実際は、桜井美月を怒らせ、次の復讐へと追い込むためのものだった。

記憶を取り戻してから、浅野武樹は桜井美月のことを考えると心が痒くなるほど憎んでいた。