帰り道で、山田進が昔のことを話すのを聞いて、望月あかりは初めて斉藤玲人と木村清香が幼なじみだったことを知った。
「あの頃は二人の仲が険悪だったんだ。土井家は木村清香との結婚に猛反対で、二人は中学から大学まで付き合い続けたけど、土井くんの母親が自殺しそうになって、やっと別れたんだ。もし別れてなかったら、今頃子供も大きくなってたかもね」山田進は少し飲み過ぎて、帰ってから頭が痛いと言って望月あかりに頭をマッサージしてもらいながら、土井くんと木村清香のことを細々と話した。
「どうして土井くんのお母さんは反対したの?木村家だって権力があるのに、むしろ良い組み合わせじゃない?」望月あかりには理解できなかった。土井くんと木村清香は相思相愛なのに、家族の政略結婚の悲劇を避けられるはずなのに。それに土井くんの母親はあんなに優しそうな人なのに、暴れそうな人には見えなかった。