その中にどれだけの計算があったとしても、斉藤玲人の望月あかりへの気持ちは本物だった。彼が望月あかりを利用して山田進を混乱させようとしたのも事実だ。森はるかの件は今すぐには解決できないため、斉藤玲人は永陽にいる部下に電話をかけ、山田進を更に混乱させるよう指示を出した。
木村家は山田進の支援がなくても構わないが、鈴木家は絶対にその支援を得てはならない!
彼の心の中では、木村家が鈴木家を完全に抑え込まなければならなかった。そのため、この期間は望月あかりを帰すことはできず、彼女を手に入れる必要があった。
だから山田進を挑発した夜も、斉藤玲人は大人しく帰ることなく、むしろ望月あかりの部屋のドアをノックした。
望月あかりがドアを開けると、斉藤玲人は黒いシルクのバスローブを着ていた。望月あかりが着ているものとお揃いだった。