望月紀夫は知らせを受け、訓練基地から病院に駆けつけた。望月あかりはまだ病室にいて、点滴を受けながら意識不明の状態だった。
山田進はベッドの横に座り、望月あかりのもう一方の手を握っていた。山田お父さんと山田おかあさんは医者と話をしていた。
「姉さんはどうですか?」望月紀夫は医者に尋ねた。その家族の存在など目に入っていなかった。
ここは私立病院で、医者は山田家の方々の指示しか聞かない。さっき既に山田家の人々に望月あかりの状態を説明したので、もう一度は言わないだろう。
「山田さん、山田夫人、私は一旦外で専門家と相談してきます。山田夫人が目を覚ましたらお呼びください」医者はそう言って立ち去った。
「姉さんはどうなんだ?聞いてるんだ、どうなんだ?!」望月紀夫は山田進に詰め寄った。彼は訓練中で、ネットで山田進の浮気騒動を知り、姉に電話で様子を聞こうとしたところ、山田進が電話に出て望月あかりが入院したと告げられたのだ。