修正版:第166章・若葉いわお

山田進はすでに着替えを済ませ、望月あかりが目を覚ましたのを見て、彼女を起こして着替えを手伝いながら言った。「まず起きて何か食べましょう。今日は両親の家に帰って泊まることにしましょう」

望月あかりは異議を唱えず、彼に協力してベッドから起き上がり、服を着た。

別荘に戻ると、山田進と望月あかりが玄関に入った時、リビングで若葉いわおと彼の両親に出くわした。

若葉いわおは簡素な白いTシャツを着ており、かつての意気揚々とした様子は全くなく、老けて疲れた様子に見えた。中での生活は楽ではなかったようだ。

彼の両親は元気そうで、この数日間の打撃があったものの、息子を救い出せたことが最大の喜びだった。

様子を見ると、若葉いわおと森結衣が出所し、両親が若葉いわおを連れて感謝の挨拶に来たようだ。

「こんにちは」望月あかりは若葉いわおを無視し、彼の両親に頭を下げて挨拶した。

彼の両親は緊張した様子で、望月あかりに対して笑顔を絶やさなかった。

望月あかりは彼らが山田家の人々に話があるのだろうと思い、口実を作って「お父さん、お母さん、少し眠いので、先に上で休ませてもらいます」と言った。

彼女は最近眠気が激しく、一瞬前まで元気に話していても、次の瞬間には眠りに落ちてしまうほどだった。

「どうぞ。後で動けるようになったら降りてきて食事をしてね。動きたくなければメイドに部屋まで運んでもらうわ」山田おかあさんは笑顔で言い、山田進に望月あかりを部屋まで送るよう頼んだ。

「ちょっと下に行ってくるから、ゆっくり休んでいて。すぐに戻ってきて付き添うから」山田進は望月あかりに部屋着を着替えさせてから、下に降りていった。

望月あかりは眠らなかった。彼女は心の中で疑問を抱いていた。

これは正常ではない。理屈から言えば、彼女は妊娠中で最も世話が必要なのに、山田進が直接下りて話をする必要はない。彼女に聞かせたくない話があるに違いない。

山田進と若葉いわおが彼女に聞かせたくないのは、森結衣のことしかないはずだ。

望月あかりはしばらく待ってから、ドアを少し開けて、下の階の会話を聞こうとしたが、下には山田お父さんと山田おかあさん、そして若葉いわおの両親の声しかなく、山田進と若葉いわおの声は全く聞こえなかった。

彼らは人を避けて、きっと言えない秘密があるのだ。