山田進はまず望月あかりを送り、それから会社に向かった。
会社に着くとすぐに、高橋美月がロビーで彼を待っていた。
「社長、木村様がお見えになっています」と高橋美月が報告した。山田進は事情を察した。木村家で大事件が起きた今、木村平助がやって来たのは、この事件を担当しているのが望月紀夫だと知ったからに違いない。
山田進は直接応接室へ向かい、木村平助を訪ねた。家で次々と問題が起きたせいで、今の木村平助はかつての派手さや義侠心を完全に失っていた。だらしない姿で頭を垂れて応接室に座っており、山田進が入ってきてようやく少し生気を取り戻した。
「進兄さん……」
山田進はうなずき、「座りなさい、ゆっくり話そう」と言った。
彼は今日の来訪目的をおおよそ察していた。木村家の危機を乗り越える手助けをしてほしいか、あるいは望月紀夫に話して捜査を緩めてもらうよう頼むかのどちらかだろう。どちらも彼には手助けできないことだった。