番外編二、斉藤玲人（下）

アメが一本五十銭で売られていた頃、斉藤玲人は「男の子ではない」という言葉の意味を理解した。

彼は斉藤家唯一の男子であり、怪我をする前は、父親の収入は祖母が管理し、家族は母親の給料で生活していた。生活の重圧の中で、母親は日に日に言葉が鋭くなり、かわいらしさを失っていった。

彼が怪我をした後、父と母の離婚を主張していた祖母は、父の死によって突然彼を大切にし始めた。彼女たちは彼を全国各地の病院に連れて行き、その後も彼の薬は途切れることがなかった。

高校の寮生活が始まるまで。十六人の男子寮では、消灯後に学校で禁止されている話題で盛り上がった。

やがて話題は画像の回し見になり、さらには皆が消灯後、布団の中で動画を見るようになった。

その日、斉藤玲人はちょうど武侠小説を読んでいて、英雄的な義侠心と痛快な恩讐の世界に浸りながら、動画から聞こえる女性の泣き声のような音を聞いていた。