第45章 彼女に利用された

鈴木之恵は慌てふためいた。

彼はどうしてこんな恥知らずな言葉を平然と言えるのだろう？

彼は腰に手を当てて軽く払うと、ベルトのバックルが自動的に外れ、スーツのズボンが腰にだらしなくぶら下がり、冷たい瞳に不良っぽさが混じった。

鈴木之恵は彼が本気だと悟った。

彼女が振り返ると、小柳さんはいつの間にか姿を消していた。今、彼女が出てきてくれることを切に願った。水を汲みに来るだけでもいいから。

彼はすでにズボンを脱ぎ始めており、まるでそれをしないと気が済まないかのようだった。

「恥知らず」

鈴木之恵は顔をそむけ、そちらを見る勇気がなかった。

彼は片手で強引に彼女の顔を向かせ、目を合わせることを強要した。

「キスして！」

ほとんど命令口調だった。

彼の意図はダイニングテーブルの前でそれをすることだった。

鈴木之恵は今日は逃げられないと悟った。彼女はダイニングルームでこんなことが起こるのを受け入れがたく、家には第三者もいた。彼女の卑しさは彼の前だけで十分だった。

彼女はまだ体面を保ちたかった。

「藤田深志、今日あなたが満足したら離婚を承諾してくれる？」

彼女の声は柔らかくなり、もはや彼の逆鱗に触れる勇気はなかった。もし彼が離婚に同意するなら、彼女は背水の陣で戦う覚悟があった。

藤田深志は胸の中で炎が暴れ回り、はけ口が見つからないのを感じた。彼女は今でも彼が怒っている理由を理解していない。どうやって人を喜ばせることができるのか？

彼女がまだ離婚という言葉を口にする勇気があるとは、懲らしめが足りないようだ！

「余計な話はするな。行動で示せ。どうやって俺を喜ばせるか教えただろう。何度言わせる？」

鈴木之恵は目を落ち着かせて、「上の階に戻りましょう？」

藤田深志は片手でネクタイを引き抜いて投げ捨て、「旦那様と呼べ」

「旦那様、上の階に戻りましょう」

鈴木之恵は覚悟を決めた。彼の言う通りにすればいい。ただし、目は冷たく、欲情の色は一切なかった。彼が望むなら、与えればいい。

離婚証明書を手に入れたら、二度と会わない。

彼女が今日言った言葉の中で、この二つの言葉だけが彼の耳に入った。

藤田深志は身を屈めて彼女を抱き上げ、一度に二段ずつ階段を上り、急いでいるように見えた。